第一章 我が街へ

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まず、俺は対馬に連絡を取った。地図はきっと、彼が持っていると踏んだからだ。 「あぁ。あるよ、ここに。」 そして、夢のようなこの現実を話した。信じてくれなくともいい。その時は別の方法を探すのみだ…と。 「解った。満月の晩だな?と、すると…ちょうど明後日じゃないか!お前の十七の誕生日だよ!これは偶然じゃない。必然だよ。」 興奮気味に話す対馬。 でも、信じてくれて嬉しかった。今までの自分を恥じた。 「ごめんな。ありがとう。」 面食らったのか、少しの間があってから対馬は言った。 「何の。構わないさ。」 と…。 そして二日が経った。 俺は、約束通り八時に校舎へ向かった。そして、対馬の他に会長達もいる事に驚いた。 「どうして?」 「俺達も行くから。」 会長が言う。 「お前の事は認めないけど。お前の姉さんは助けたい。」 と三國が言う。 「でかい葛籠だな。」 対馬が言った時だった。 急に雷鳴が轟き、大雨になった。驚いた俺達は校舎へ向かったが、その途中で会長が転びそうになった。 「わっ。」 「直希!」 対馬が手を伸ばしたら、ズボンのポケットから地図が落ちた。 “ヤバイ”と声に出さずに対馬が言った時だった。『時は来た。』 また、あの声がした。 葛籠がガタガタと動く。皆、怖くなる。そして、地図が葛籠へ向かって…飛んだ! 「え!」 瞬間、稲妻が近くに落ちた。 ドオオオン!!!という地響きにバランスを崩して転ぶ。 「痛て…あ!葛籠!」 俺が確認すると、地図が張り付いている。そして鍵が… 「壊れた…。」 開けてはならなかったのに。どうしよう… 葛籠は、ガタガタと再びひとりでに動き出す。 怖くて、無言で全員が一箇所に集まる。 闇のように真っ暗で、雷鳴轟く中。“それ”は現れた… 「ひっ…!」 真っ赤な瞳に、怨みを宿らせて…“龍の首”は言った。 「我が街へ…。」 「あああああ!!!」 世界も身体もグニャリと曲がったように感じた。 俺達は、龍に引っ張られた。 そして世界は終いへと、一歩を踏み出した。 「この空…空気。開いてしまったか…この世の終いじゃ。」 周五郎じいちゃんは、空を見上げ呟いていた。 何度も繰り返し、聞こえる…。 『我が街へ』
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