第二章 鬼の住む街

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艶やかな着物姿の女性が、煙草を吸ったり。笑いながら客引きしている。 “違和感”対馬が言ったような“別の世界”の気分だ。 「あら。毛色の変わった兄様達やねぇ。いくつだい?」 いきなり、声を掛けられて驚く。すると、彼女は笑いながら言った。 「遊廓に来て、遊女に声を掛けられてビクつくなんて。変な兄様やね。―まだ学生だね?それもまだ染まっていない、真っ白な…。」 「すまない。俺達みたいな背格好で、挙動不審な男を見なかったか?」 対馬が、本題に入る。俺は、ハッとした。ビクビクしてる暇は無い! 「あら。眼鏡なんか掛けて、賢そうな兄様やね。真砂。」 「あい。柳太夫姉様。」 “この人は柳太夫というのか”と考えていると、彼女は真砂と呼んだ子に聞いてくれた。 「この兄様達によう似た兄様を見たかい?」 「いいえ。」 「見なかったそうえ。すいまへんねぇ。」 「いえ…。」 落ち込んでいると、真砂という子は驚きの話を始めた。 「兄様は見ませんやったけど…。何処かのお嬢様らしき人が、人買いに連れて行かれたんは見ました。」 「お嬢様?」 角田が聞く。 「へえ。若草色の洋服を着てたんやけど。ボロボロでした。泣きながら“れつれつ”言うてはりました。」 「それ…“誠悦”じゃなかったですか?」 俺が聞くと、パッと明るく笑って“そうや”と彼女は言った。“姉さんだ!”と確信する。 「あの人買いでしたら、わちきらと同じ遊廓に連れて行きますやろ。―ところで。」 柳太夫は、対馬に艶っぽい口調で「ここまで教えたんえ?遊んでいっておくんなましよ。」と言った。 「―悪いが。金が無い。」 対馬が言うと、柳太夫は怒って「とっとと行っちまいな!」と言い放った。
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