第二章 鬼の住む街

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「対馬?何故、断言出来る?」 三國が、問う。 「簡単だよ。この詳しさと…この廓の名前かな。気付かなかった?」 廓の名前… 「龍泉。」 角田が呟く。 勝ち誇ったように、対馬が笑う。 「そう。龍の字が入った廓は、ここしか無い。違いますか?」 すると、降参したようにおかあさんは溜め息をついて話し始めた。 「そんなに頭が切れるんでしたら、御自分の名前以外も思い出せるんではないですか?」 と、ひとつ嫌みをついてから…。 「そうです。でも、さっきも言いましたが、千左は何も知りません。葛籠はここにはありませんよ。あの人が…持っていますから。」 「―鬼?」 つい、俺は言ってしまった。ヤバいと思って手を口に当てる。 チラリと俺を見て、おかあさんは肯定した。 「ええ。鬼は龍を護ってます。好奇の目に晒されないように。―暴れて傷付かないように。」 “暴れて傷付かないように” 俺は。恐ろしいと言われた鬼は、実は一番の龍の理解者だったように感じた。 「もしかして、烙巌(らくがん)様?」 千左は、おかあさんに問う。 「…そうよ。あの方が“鬼”よ。」 「烙巌とは?」 「呪術師様よ。この先の神社に住んでるわ。」 「何故、彼が鬼だと?」 三國が千左に問う。 「だって…、前に言っていたのです。“私は護りたいものを護れなかった”と。それは、龍神様の事では無いのですか?」 皆、呆気に取られる。 この子は、何者だろうか。ただの少女には見えなくなった。 「鬼の住む街…。」 三國が呟く。 すると、おかぁさんは厳しい目で聞いてくる。 「其れを何処で?」 「え。何となく?―すいませんでした。」 三國は驚いたが、とりあえず謝った。 対馬も言っていたが、聞こえていなかったのか?兎に角、誤魔化さなきゃと感じた。
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