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第一章 我が街へ
祖父が亡くなった。
祖父は小さい頃から骨董好きで、コレクターだった。そんな祖父が唯一触れてはならないと言っていた葛籠は、頑丈に鍵が掛かっていた。
だけど、本人は鍵を持っていなかった。
俺は興味が無くて半ばバカにしていた。
しかも、葛篭の存在も忘れていた。
「誠悦?おじいちゃんの遺品の形見分けしてるよ。」
姉の塔子が言う。
大学一年の…どことなく掴めない女性(ひと)だ。
俺は、小川誠悦。私立高等学校二年だ。
「どうせ、先頭きって選んでるのは親父だろ?」
冷たく言い放つ。
親父は、根っからのギャンブル好きだ。きっと、祖父の骨董も売り捌くつもりだろう。
「私は、約束した物があったから…もう貰ったよ。あんたも行って来なさい。」
「興味無いよ。」
そう答える俺に、姉は厳しく言った。
「ダメ。ひとつだけ。おじいちゃんと繋がる物を持っていなさい。」
駄々をこねる程、俺も子供じゃない。反発心を抱えつつ立ち上がり、姉の目を見て答えた。
「解った。」と。
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