第一章 我が街へ

7/11
前へ
/43ページ
次へ
三國も十番内キープしている。だから、所謂不良ってやつなんだけど退学を免れている。 「あ、対馬!」 だが、こいつはまだ可愛い方だと思う。 「ん?」 「タバコ、返せよ!」 「無い。吸った。」 ケロッと言ってのける対馬。こいつは影の不良だ。人当たりがいいので、先生や先輩、後輩には人気だし。万年首位。そう、万年首位! 悔しいよな…いやいや、そんな話じゃないんだ。 「悪いな。」 ニヤニヤしながら謝る対馬に、三國はガックリと肩を落としてしゃがみ込む。そこまで落ち込む理由は何処にあるんだ?とも思ってしまう。 「芹澤、ナイッシュー!」 角田の声に、ハッとした。 「あ~会長じゃん!見てたんだ?」 「九本連続だね~。」 「レギュラー降格したくないからね。あ、小川~!」 ヒラヒラと俺に手を振る芹澤に、面倒だと思いながらも振り返す。 「お前、腹の中と出る言葉が違うから嫌いだ。汚い。」 「三國!いい加減にしなさい!」 叫ぶ角田に、俺が“構わない”と言おうとすると、思い掛けない声が飛び込んで来た。 「小川は、言葉が足りないだけで悪くないよ。」 芹澤だ。驚いて開いた口が塞がらない。 「流石校内一の駿足だね。」 ニコリと笑って対馬は、言う。照れて芹澤は、頭を掻いている…流石天然キャラ。 「確かに授業の始まる時間は近くなったが…着替えてからおいで?」 「あ。ヤバイ!待ってて!」 待ってても何も。教室ですが?面白い奴だよ、芹澤。 「小川、さっきの三國に反論は?」 いきなり副会長が問い掛けた。 「反論?」 「一成、何をいきなり。」 「まぁ、直希。言われるままってのはどうかなってさ。気になって。」 「面白がってるんだろ。」 「勿論。」 ニッと笑う。 「さあ、小川。どう思った?」 三國が黙って見ている。 溜め息をついて、俺は話し始めた。 「副会長だって、二面性があって汚いと思う。」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加