―Ⅰ―<遭遇>

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一瞬、私の脳裏にある考えがよぎった。まさか、時間が止まっているのか…と。 時間が止まってる!?そんなこと、ありえない!! そう、常識的に、現実的に考えて時間が止まるなどという事態は、あり得ない。 時間が止まる。と言うことは、漫画やテレビの世界の中で人々が空想した事であり、実際に起こりうるものではないのだ。 私は窓から外を再び見る。そこには変わらぬ月と空。 しかし見下ろしたその先には、ブロック塀から飛び降りんとするまさにその瞬間。下を見据える顔。伸びきった体。その全てが空中で静止した状態の猫がいた……。 完璧に時間が止まっいる。だとしても理解できない。何故?それに、私は動いてる。 混乱――。 そして、私の頭は誰しもが行き着くであろう結論を出す。 そうか これは夢なんだ。と。 
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