温もり

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彼が気付いた頃には、どこかの部屋の中にいた。 「ここは…どこだ…?」 部屋の中は暖かくて快適だった。 「あっ!お目覚めのようだね」 声の主は、彼を抱き上げた男だ。 「お腹空いてるだろう?さぁ、いっぱい食べて」 そう言うと男は彼に食事を差し出す。 「何かの罠に違いない…」 そう思い、彼は中々食べようとしなかった。 「食べないのかい?こんなにおいしいのに」 男は彼に見せるように食事の一部を口にした。 「…罠ではないようだな…食べるか」 恐る恐る彼は食事を食べ出した。空腹だった彼は次第にペースをあげて食べていった。 「よっぽどお腹空いてたんだね。いっぱいあるからゆっくりお食べ」 男はそう言いながら、彼を撫でた。 「触るなっ!」 彼は、その撫でた手を引っ掻いた。 「痛っ!…そっか…君はずっと一人でいたんだね。寂しかっただろう?でも、今は僕がいる。安心していいよ」 男は引っ掻かれても、なお彼を撫で続けた。 「な、なんだコイツ…今までこんな事なかったのに…なんだろうこの感覚は…」 彼は戸惑っていた。 生まれて初めての「温もり」と「優しさ」に。 彼は次第に男に対しての警戒心を解くようになった。
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