第1章

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それから2人の“普通”探しの旅が始まった。 真帆は不在が多かった美香の代わりのように 健人の行くところ行くところ、くっ付いて回るようになった。 健人が来てから、あっという間に1ヶ月が経ったが、健人は真帆以外誰とも口をきかなかった。 真帆とも、1日中一緒にいてもほとんど会話はない。 でも不思議と自然に2人はいつも一緒にいて、目くばせや表情で会話をしていた。 何事もなく穏やかな日々が続いたが、 真帆の部屋の動物は だいたい3日に1匹程度、変死体になっていた。 「・・・真帆。」 「健人っ!ハムスターが・・・!」 「・・・・・・。」 花瓶に押し込められ、水死していた。 「・・・なんでだろう。落っこちちゃったのかな?」 「・・・・・・・・・・・。」 真帆がハムスターを摘まんで花瓶に入れたところを 健人は見ていた。 苦しそうにもがき苦しむハムスターをボールペンの先で、沈めたり浮かばせたりしながら、恍惚の笑みをうかべる真帆を偶然にも見てしまった。 「真帆の部屋、呪われてるのかも・・・。」 「・・・・・・・・真帆。」 「・・・なに?」 「お前、本当に覚えてねーの?」 「なにを?」 「・・・なんでもない。」 「埋めに行こう・・・」 真帆の目には涙が浮かんでいた。 健人が先生と初めてまともに話をしたのは、 真帆の動物殺害癖のことだった。
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