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「おい! 本部からの救援はまだ来ないのか!」
憔悴しきった表情をした男が近くにいる若い男に怒鳴りつける。
怒鳴られた若い男は絶望感を顔に滲ませ、すがるような声でそれに答えた。
「はい……! まだ来ません……。
隊長、われわれは……本部から見捨てられたのでしょうか……」
若い男が気弱な返事をしてみせる。
隊長と呼ばれた男は苦悶の表情を浮かべながらこう答えた。
「希望を捨てるな。
まだ死ぬと決まったわけじゃない……。
最後まであきらめるな!」
……彼もわかっていたのだ。
こんな辺境の地。
しかも、敵の領地に近いこの場所に救援が来るはずの無いことを。
ここは戦場である。
……いや。戦場であった。
今はただの虐殺ショーの舞台となっていた。
彼らは両手で数えれるほどの人数しか生き残っていなかった。
周りを取り囲む敵の数は10倍とも100倍ともいえるほどの数だった。
彼らの死のカウントダウンは刻々と近づいていた。
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