決勝トーナメント

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  「うおぉぉっっ!」     気合いとともに作り出されたのは、以前アマテラスが使用していた光球。     光の球がハクと分身たちを包み込み、迫り来る闇の壁を防御する態勢に入った。     「もう姉さんの光球をマスターしていましたか。さすがハク君。しかし、僕の攻撃に耐えられるかな?」     ジワジワと迫ってくる闇の壁はついに、光球に接触した。     「……くっ……!」     その圧力はハクの想像以上だった。     全神経を傾け、防御に撤する。     すると、再びツクヨミが口を開いた。     「水の特性……これは、鎮圧ですね」     いきなり語りだすツクヨミの真意が分からず、ハクはただ黙っていた。     「火は破壊。地は創造。雷は停止。風は活動。……そして、光は拒絶」     ハクは闇の壁の進行を必死になり食い止めながら、その話を聞いていた。     「それなら闇の特性は? 分かりますか?」     ハクは答えられない。     答えが分かっていたから、答えたくなかったのだ。     黙ったままのハクを見て、ツクヨミは無表情のまま再び口を開く。     「闇の特性は中和。すべての魔法力を飲み込み、相殺する」     ツクヨミがそう言った途端、光球の壁が薄くなる。     (く……やはり……!)     ハクの予想どおりだった。     光球の壁が壊れたら負ける!     そう思ったハクは気合いを入れ、光球に魔法力を流し込む。     「うぅぅおおぉぉぅぅっっ!」     少しは分厚くなった。しかし、直ぐ様闇の壁と打ち消しあってどんどん光球の厚さは薄くなる。     ハクが頑張っているように分身たちも、魔法力を放出していた。     しかし、それが仇となる。     魔法力を放出し続けたことにより、内在する魔法力がゼロになった分身が一体、消え去った。
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