プロローグ

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ハァ ハァ ハァ 「・・・もう終わるんだよ。 全部、全部。」 階段をかけ登る音が、この薄暗い部屋に低い残響音となり鳴り響く。 バァン 乱暴に開かれるドア。そこには、雪のような白い肌の一人の少女、橘 サキが息を切らしながら立っていた。 「来たよ。」 白い頬の下に汗がにじんでいる。おそらく、ここまで走ってきたのだろう。 男は静かに口を開いた。 「あぁ、行こう  自由の為に 。」 蚊の泣くような小さな声で、 どこか悲しく、 どこか遠くを見つめながら、サキも口にした。 「自由の為に…」
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