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ふがふが…
フンフンフン…
ふぁ~~~
「なんかええ匂いがするなぁ~… んっ…? ちゃう ゴハンやっ!」
かるび村長は飛び起き、顔を洗う間もなく、ドアを開けて走り出しました。
短い手足をこれでもかと動かし、垂れた耳を風になびかせ、ひたすら走りました。
五分程走り、着いた家のドアを開けると…
エプロンで濡れた手を拭き拭き、
「あらぁ~ かるび村長おはよう! 今日はうちに来てくれたのね。ありがたい事だわ」
とチワさんがニコニコしながら、イスを出してくれました。
「かるび村長おはよう!今日はオムレツだよ!お母さんのオムレツおいしいよ!」
子供達に急かすように座らされました。
かるび村長は、そのつぶれた愛くるしい鼻で、めいいっぱい匂いを嗅ぎながら、オムレツを口いっぱいほうりこみました。
「ほんまや! めちゃくちゃおいしい!」
「かるび村長に褒められたら今日一日ご機嫌で過ごせるわ」
かるび村長は、パグパグ村の為に、いつも休む事なく走り回っています。
いつの頃からか、かるび村長は、ゴハンの匂いに惹かれ、村中の家のゴハンを食べに行くようになったのです。
無償のゴハンなんて、凄く損なように思いますが、かるび村長が家に来て、どこか悪い所はないか、具合は悪くないかなど、ゴハンを食べるだけでなく、気付くと沢山の気遣いをしてくれるので、かるび村長に来てもらえた家は、それだけ安心なのです。
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