かるび村長

4/5

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
ふがふが…   フンフンフン…     ふぁ~~~       「なんかええ匂いがするなぁ~… んっ…? ちゃう ゴハンやっ!」   かるび村長は飛び起き、顔を洗う間もなく、ドアを開けて走り出しました。   短い手足をこれでもかと動かし、垂れた耳を風になびかせ、ひたすら走りました。  五分程走り、着いた家のドアを開けると…   エプロンで濡れた手を拭き拭き、   「あらぁ~ かるび村長おはよう! 今日はうちに来てくれたのね。ありがたい事だわ」 とチワさんがニコニコしながら、イスを出してくれました。   「かるび村長おはよう!今日はオムレツだよ!お母さんのオムレツおいしいよ!」 子供達に急かすように座らされました。   かるび村長は、そのつぶれた愛くるしい鼻で、めいいっぱい匂いを嗅ぎながら、オムレツを口いっぱいほうりこみました。   「ほんまや! めちゃくちゃおいしい!」   「かるび村長に褒められたら今日一日ご機嫌で過ごせるわ」     かるび村長は、パグパグ村の為に、いつも休む事なく走り回っています。   いつの頃からか、かるび村長は、ゴハンの匂いに惹かれ、村中の家のゴハンを食べに行くようになったのです。   無償のゴハンなんて、凄く損なように思いますが、かるび村長が家に来て、どこか悪い所はないか、具合は悪くないかなど、ゴハンを食べるだけでなく、気付くと沢山の気遣いをしてくれるので、かるび村長に来てもらえた家は、それだけ安心なのです。  
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加