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どこだ。此処。天国…なわけないな。あれだけ人を殺しておいて天国にいけるわけがない。なら地獄か?いや、地獄がこんな賑やかなわけがない。どれだけ愉快な場所なんだ。
「おい!ゼロ!ゼロが目覚ましたぞ!!」「お!マジか!?」「英雄さんがお目覚めだ!」
俺は……生きて…いるのか?
「ニャァ」
「お前…」
猫が頬を舐めてくる。
「ソイツが教えてくれたんだ。ソイツに着いて行ったら、血ィ流して倒れてるあんたがいたんだ。少しでも遅かったら死んでたね。」
「そう、か…。」
この猫が…。少女に飼われていた猫が…。
『次は貴方が死ぬ番かもね。』
そう笑いながら言った少女の猫が、皮肉にも俺を助けるなんてな。…笑える。
殲滅が終わり、この戦争は自分達の国が勝った。
俺は功績を認められ、人々から讃えられた。俺はただの大量殺人犯なのにな。
あれから何年経つだろう。
猫を見る度に思い出す。少女の事を。殺した人々の事を。そして訴えてくる。何故お前は生きている。次はお前だ、と。罪の重さを訴えてくる。国のため、任務だったとはいえ、俺は人を殺した事に変わりはないんだ。
この猫は…俺の罪の証なんだ。この猫が俺を助けたのは、俺を罪から逃れさせなくするため。この罪からは逃れられないんだ。
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