プロローグ

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現在、深夜の三時。 何故か僕は仕事をしている。 窓越しに 闇に抱かれた月が冷たい光を放っている。 まるで深淵に抱かれているかのようだ。 君とは数回、都会の雑踏の中で話しているのだが、今日は君と二人きりで逢う約束の日だった。 君が携帯で僕に電話をしながら、駅のホームから改札口を抜けて僕の近くに来た時には直ぐに君だと分かった。 何か懐かしい匂いさえ憶えた。 そう、ずっと以前から一緒に居たような記憶。 「初めまして」と僕 「初めまして」と君 二人だけではという意味だが、緊張も手伝っての挨拶だ。 そんな事を思い出しながら感慨に耽っていると夜は白み始めて来た。 依然として月は空にある。 やがて 空の蒼に飲み込まれてしまうのだろう。 色々な事をしたり 色々な事を話したりして… どの様な姿であれ、君とずっと居る約束をして再会の時を楽しみに別れた。  
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