walk,01 ノラネコ同盟

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  「ふぅーん。正直ちょっと信じらんないカモ」 先程羽衣ちゃんのお母さんが持ってきてくれた、ジュースと手作りマフィンを口に運びながら、今までの不思議体験を聞かせていたのだが。 未音が思っていたよりも反応が薄かった。 もっと吃驚してくれてもいいのに・・・。作り話とでも思っているのかな? 「本当なんだってば!ほら、傷もあるし」 そう言って、伴倉庫の貼ってある方の手を見せる。 それでも信じてなさそうな顔をする羽衣。 「もう!本当なんだってば!!信じてくれないなら別にいいよ!」 本当はいい訳ないのだろう、下を向いて口はへの字だ。 こうなると未音の機嫌は簡単には戻らない。 「だってさぁ、猫が喋ったりマンションに変な部屋があったりなんて・・・マンガじゃないんだからそんな事有り得ないでしょ?」 更に追い打ちを掛ける一言が、羽衣の口から洩れる。 友達の、しかも親友だと思っている子からの棘のある言葉に、未音の何かがプチンと切れた。 何も言わずに羽衣の部屋を飛び出し、外へと駆け出した。 「ちょっと未音ちゃん!」 突然の事で呆気にとられていた羽衣が、慌てて声を掛けたが、その時はすでに家から出て行ってしまっていた。 有った事をそのまま話しただけなのに、自分が思っていた反応とは違う事と、体験した事実をうまく伝えられなかった事が悔しくて、自然と涙がこぼれ落ちていた。 思いっきり走る事にも疲れ、トボトボと歩いて家へと帰る。 「本当にあった事なのに・・・・。羽衣のバカ!!」
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