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「まずっ」
やっぱりドッグフードはまずかった。
エンゼルが食べるのを中断し、どうしたの?というような瞳で見つめる。
「エンゼルの食べ物は僕にはまずいみたい」
僕が笑いかけると、エンゼルは笑うように舌を出した。
結局ご飯は食べないままで、朝の散歩をする。
「あれ?ねぇ!」
声がしたほうを振り向いた。
と同時に、息が苦しくなる。
「久しぶり。最近、学校こないね」
どうしよう。ここはこの子の通学路だった。
「いつの間に犬飼ったの?カワイイ」
エンゼルに手を伸ばす女の子。
僕はとっさに、エンゼルを引き寄せた。
彼女は一瞬驚いた顔をしてから、とても悲しそうな顔になった。
「まだ、怒ってたんだ」
僕は何も言わない。
「ごめんね」
僕はその言葉に、いいよって言いたくなった。
本当は僕が悪いんだ。
でもそれを認めるのは、ものすごく嫌だった。
僕は無視して、体の向きを変えて歩いた。
「待ってるから、ずっと」
背中に投げかけられた声。今すぐに払ってしまいたかった。
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