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と、風が吹いた。
ゴミが飛んできそうで、僕は思わず目を閉じる。
シュルシュル、という音が聞こえて、しばらくすると風は止んだ。
変な風だなぁと思いながら目を開けると、僕のちょうど視線の先にダンボールがあった。
さっきの風で飛んできたんだろう。
僕はそのダンボールに強く惹かれて、慌てて立ち上がり駆け寄った。
「ひろつてください」
歪な字。まだ小学校にも上がっていなさそうな子の字。
中を覗く。
子犬が眠っていた。
僕はそっと手を伸ばした。
違う、これは……
死んでる。
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