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僕は悲しくなった。
誰にも拾われずに、孤独なまま骸となった子犬。
まだ知らない幸福、知らないこと、知らないものが、たくさんあっただろう。
生き物を捨てる、というのがこういうことだと、この文字を書いた本人はまだわかっていなかったんだ。
僕はその子犬を抱いた。
ここ何年か泣いていなかった僕の目に、涙が浮かんでいた。
どうにもならない。
この犬に、たくさんのことを教えてやりたいのに。
僕がもう少し、君を早く見つけていたら。
涙が溢れ出したその瞬間、辺りが真っ白になった。
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