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「ぁ…、…れ………?」
気がつくと、そんなことを口走っていた。
(……夢、か)
ぼやけた意識が段々とはっきりしてくる。
真っ暗な部屋。いつも通りの部屋。慣れた部屋。
なんてことのない、オレの部屋だ。
手慣れた動作で明かりをつけながら、苦笑する。
……妙な夢だった。
夢を見るなんて久しぶりな気がするし、起きた後ソレをはっきりと思い出せたことはあまり無い。
(………誰だろ、アイツ…)
そんなこともあって、オレはベッドの上で体を起こすと、先ほど見ていた映像を記憶を頼りに再生する。
最初に気になるのは、やっぱりアイツのことだった。
(……知らないよな。あんなヤツ…)
夢の中に出てきた、見知らぬ誰か。
少なくとも自分の知り合いにあんなヤツはいない。
(……ようするに、“いない”ってことか)
多分“アイツ”なんて人物は、実在しないのだろう。
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