嫉妬

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(……どーでもいいや) 夢なんて、どうでもいいことだろう。 夢は予兆だとか、夢占いなんてモノで、夢に理由を付けようとする人はいる。 でも結局のところ、不確かなモノに変わりない。 そういう不確かなモノに執着しちゃうような人間は、きっと騙されやすい。 ……うん、きっとそうだ。 どんなに可愛い子に迫られようが、オレは買ったりしないからな、壺は。 ―――だけど。 妙に気になる。 引っかかる。抜けられない。 頭の中の、映像再生が止まらない。 停止ボタンが作動しない。 ループ。 ループ。 ループ。 ループ。 ループ。 ひたすら追う。 アイツの姿を。 (……何、だ?) 変な感情。 アイツを見ていると、何か妙な、強い感情が湧き上がってくる。 胸の奥深くで、だけど確かに、嫌なぐらいに。 怒り? 恨み? 憎しみ? 嫌悪? 拒絶? どれも違う。 ………………嫉妬? 「…、ッ………!」 (……ぁ…れ?) 瞬間。 体が焦った。 ○○のコト好きなの? ち、ちちちち違うょッ!!!! みたいな。 「…は…ッ…」 (……なんだよ、それ) オレは嫉妬してるのか。 実在しない、アイツに。 人間として、とてつもないほどに輝いていた、アイツに。
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