嫉妬

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赤羽・優(あかばね・ゆう)。 というのが、オレの名前である。 コイツの日常は至って平凡で、これといっためぼしい点は無く。 普通に学校行って、その他大勢と一緒に普通に授業を受け、普通に友達と楽しく学校生活を送っている高校2年生。 ―――と、いいたいところですが。 そうはいかないのが現実だったりするのだから、人生ってのは分からない。 平凡の線引きはどこだろう。普通の線引きはどこだろう。 明確なことなんて分からない。 それでも言える、分かることは、オレの日常は平凡以下で普通以下ってことだ。 「よぉ赤羽~。ノート写さしてくんね~?」 「……またかよ」 古典の授業が終わると、このクラスで“唯一”オレと話す、本田・恭一がノコノコとやって来た。 “唯一”、というのは多少語弊があるかもしれない。 授業に関することとか、何かしらの用がある時には他のヤツと話すコトもある。 でも、そんなことは一日に一度、ある時のが珍しい。 それに、それは会話というよりも単なる事務作業みたいなものだ。 人と話すことが恐い。 いつからだろう、わりと前から。 一時期は本当に辛かった。 昔は友達がたくさんいた。いっぱいいた。数え切れないほどいた。 ……気付いたら、いなくなっていた。 だけど。 もういいんだ。 このままで生きていく。
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