嫉妬

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「マジ眠くってさぁ…。ほとんどが寝てたべ?」 「……まぁ、そうだけど」 恐ろしいほど退屈な授業で有名な、古典の教師、安藤。 「にしても、お前はよく平気だな? お前以外の寝てないヤツは、全員“アレ”な感じだろ」 “アレ”な感じっていうのはようするに、勉強が生きがいです、みたいな感じのことだ。 まぁ実際には違うのかもしれないが、残念ながら世間の評価とはそんなモノなんだよ。 「……オレ、ただ起きてノート取ってるってだけで、聴いてるワケじゃないから」 「何だソリャ。それって意味あんのか? それだったら後で写さしてもらったほうが――、」 と、なぜか言葉を詰まらせる恭一。 「あぁそっか。お前、写さしてもらえるヤツいねぇもんなぁ」 「……うるさいな。そういう意味じゃないから」 じゃあ何だよ、言ってみろよと、恭一はケタケタと笑う。 「……テストが赤点でもさ、授業起きてりゃ単位貰えるんだ」
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