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初めは小さい点だった。
その光りは、時折フラッシュの様に染みる光を放ち少しずつ広がる。
何だろう…?
意識が光りに集中する。
闇の中に射す光の点。
気が付くと、点は大きくなり拳程の大きさになっていた。
サッ…ザザッ……ジジジ…ザッ…
ザザッ…ザッ……
点が光りを放つと、その中に肌色が見えた。
途切れ途切れ、肌色がチラつく…
何だろう…?
……肌?……人?
暫く意識を集中させていると、次は灰色…
そして白…
何だろう…
ぼやけていた視界がだんだんと澄んできた。
見えて来たのは、灰色の机の様だった。
整理された机の上に用紙が置いてある。
脇から肌色が見えた。
手の様だ…
何か作業をしている。
正面のキーボードらしき物を引き寄せ、慣れた手付きで何かを入力をしている様だった。
何だろう…
闇の中の一点の光。
そこに見える人の手。
何が見えているのだろう…
私の…記憶?思い出?
違う。私の手ではない。
私は映像を見続けたいと、意識を集中させたが、光りはだんだん弱まり…
そして消えた。
そしてまた、ただの闇へと戻った。
一人取り残された子供の様に…
私は、ぼんやりとまた沈んで行った。
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