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我ながら、なんとも呆気ない生涯でした。
笑える程何もなく、そして努力もなく、夢すら忘れ、ただ有るものを楽に受け入れるだけの…
本当に、逃げっぱなしのどうしようもない人生だったと思う。
この‥何もない人生を終わりにしようと思ったのも…
これもまた、有り触れた理由。
生活に、寂しさと疲れを感じた主婦が行き着いた先は…
…不倫。
内容は省きましょう。
それすらきっと…有り触れた内容だから…。
こんな、人生を締め括る色恋ですら…話すに満たない内容だったなんて…。
笑ってしまうでしょう。
ただ呆気なく恋が終った。
その後、夕飯の買い物をすると出掛けた私が向かった先は、何時ものスーパーではなかった。
ただ、それだけだっだ。
場所を選ぶ事すらせず、何と無くたどり着いた貯水池。
落胆する訳でも、悲観する訳でもなく…
ただ水面を眺めていた。
ユラユラ漂うビニール袋。落ち葉の固まり。緑に淀み流れもない水。
そっとサンダルのまま欄干に足を掛けた。
ふと…上げた自分の足を見ると、サンダルに付けられいた飾りが取れかけ、まるでしがみ付く様にぶら下がっていた。
まるで今の私の様だ…
そう思うと自然と口元に情けない笑みが浮かんだ…。
昼の太陽の温もりが冷め、生温くなった鉄の温度‥
ザラリとした砂の感触を掌に感じた。
私は、静かにそしてゆっくりと前に軽く体重を移動させ…
そのまま転がる様に空間へ身を踊らせた。
これが私の最期です。
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