プロローグ

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――本当に? …誰かが囁いた。 誰だろう。 私は辺りを見回したが、誰もいなかった。 …空耳? ――死にたいの? 確かに聞こえた。 誰かが、いる。 「…誰かいるの?」 私は、見えない誰かに 問掛ける。 ざわざわと風が 木々を揺らした。 ――本当に死にたいのなら どこにいるの? 私は 見えない不安にかられる。 ――少しだけ、耳を傾けて 私は 空を見上げた。 あぁ なんて綺麗な月なんだ。 ――死は、ひとつじゃない 私は 目を閉じた。  
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