僕と猫田さん

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僕はある夜、学校に忘れ物を取りに行った。 そこで人間に化けている猫田さんを偶然見てしまい、今では猫田さんの下僕状態だ。 「痒い所はないですか」 そして俺は猫田さんを洗っている。 と言っても、風呂の時の猫田さんは猫の姿だ。 人間の姿ではシャンプー代が馬鹿にならないため、僕がそう頼んだ。 「ん、今のところない」 相変わらず尊大なご返答で。 泡を流し、湯の入った洗面器に猫田さん入れ、僕もバイトの疲れを癒すように身体を洗い流した。 すっかり温まった猫田さんの濡れた毛を乾いたタオルで念入りに拭く。 それから自分の晩御飯と猫田さん用の軽食を作った。 「今日食った昼飯はなかなか旨かったな~」 また人間の姿になった猫田さんは僕が作ったお茶漬けを食べている。 「きっと奮発したんでしょうね」 お茶漬けだけでは怒るので脇には両親から送られてきた漬け物も添えている。 「時に、城戸」 「何ですか?」 「ここのところ、俺に献上されるはずの餌が何者かに盗まれているようなんだ」 猫田さんの餌が盗まれる……? 「そんな話聞きませんけど」 「ネコ缶一つとかちゃっちいもんばかりだから大っぴらにはされちゃいないが、盗まれているのは確かみたいだ」 「はぁ……」 ……なんか嫌な予感。 「城戸、俺の餌を盗む不届き者を捕まえてこい!!」 「……」 予感的中ですか。 それから僕は猫田さんの餌泥棒を探す羽目になった。
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