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「本当にくれるの?」
顔を上げずに祈梨は問う。優七はすかさず言った。
「うん、でも条件があるよ…僕と一緒にきて授業を受けるの」
「やっぱり、どうして?私には意味のない授業じゃない」
祈梨は渋る。
「うーん確かに今の祈梨は魔法が使えないけど…」
ここで言葉を区切り。
「…練習しといた方がいいと思うんだ。また吸血鬼狩りの人に襲われた時のためにも」
たまにはまともなことを言う。
それでも祈梨は授業に行くのを嫌がった。
吸血鬼には特殊な力が備わっている。
それは腕力のUpや傷の回復が早いなど色々だ。
昔は夜になるとこれらの力が使えたが、最近何かに封じられるように全く力が使えなかった。
これではただの女の子である。
でもそれは祈梨が昔から願っていたことだった。
吸血鬼ではなくただの人として生きる。化け物と呼ばれないで学校にも通える。
だが力が使えなくなってみると何だか弱気になってしまう。
「どう考えてもおかしいよね、この身体…だって血は欲しいと感じるんだから」
そう吸血鬼そのものが治った訳ではないのだ。
この状態の時にもし吸血鬼狩りに襲われでもしたら?
「……」
考えただけでも恐ろしく震えることしかできなかった。
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