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そんな祈梨を見つめ、優七はふと窓の外に目をやる。
ここは三階だ。なかなか見晴らしがいい。
「まぁ、祈梨が授業を受けたくないって言うならそれでもいいけど…」
窓の外では体育の授業をしている生徒達の声が聞こえる。
「でも、きっと大丈夫だよ」
それには何の根拠もない。
ただの想像。そうであってほしいという願望。
優七は再び祈梨に向き直る。
「祈梨の今の状態だってその内、何とかなるよ」
そしてニコッと笑った。
それは祈梨をなぜか安心にさせてしまう笑顔。
「そうね…そうかもしれないわ、何でもポジティブ思考でね」
いつもの調子を取り戻し笑い返す祈梨。ふうっとつっかえが降りたような表情だった。
しかし二人の願い虚しく、波乱は再びやってくる。
そう、出会いとことの始まりというものは…
いつも唐突なのだ。
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