記憶喪失のつらら

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○スーパー・食料品売り場 試食販売員が肉を焼いている。 販売員「いらっしゃっませ~♪ ただいま十勝産サイコロステーキ試食販売を行っておりま~す。おひとついかがですか~♪」 焼けた肉を器に盛りつける販売員。 西園寺つらら(19)が通りかかる。焼けた肉を物欲しそうに見ているつらら。 販売員「お嬢さん、どうぞ食べてみてくださ~い」 つらら「あ、結構です」 恥ずかしそうに手を振るつらら。だが、目線は肉のほうを見ている。 販売員「とってもおいしいんですよ。遠慮なさらず食べてみてください」 肉の入った器をつららに手渡す販売員。つらら、拒否しきれず受け取ってしまう。 つらら「いいんですか?」 販売員「どうぞ」 渾身の笑顔の販売員。つらら、楊枝の刺さった肉を食べる。 販売員「どうですか?」 つらら「おいしいです……とっても……」 泣きながら噛み締めるように食べているつらら。 販売員「もうひとつどうです?」 つらら「すみません」 恐縮しながらも、新しい肉に手をつけるつらら。 つらら「ありがとうございます……あたし昨日から何も食べてなくて……」 販売員「あらあら……無理なダイエットはダメよ。ちゃんと栄養取らなきゃ」 次の肉を焼き始める販売員。 つらら、嬉しそうに肉を食べている。
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