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カーテンを開けて窓を開けた。
流のいいわけなど聞きたくは無かったし、どこかで汗を流してきたらしい流を汚いと感じてしまう。近ずいても欲しくなかった。
家には馴染まない、石鹸の香りがする。
シンク下から、ウィスキーを取り出し、美海の大好きなキャラクターのコップに注いだ。
水道から直接、水を加え口に流し込む。
それは、生ぬるくてカルキの臭いとプラスチックの臭いでとてもおいしいとは思えなく、身震いがした。
「加奈。」
うなじに当ててくる流の唇を汚いと感じてしまう。
それは浩太のものなのだと、教えてあげたくなってしまう。
いつもそこにキスをする流に教えてあげようと思ってしまう。
浩太と自分の繋がるパトワ。
「眠らないの?」
「寝るよ。 少し一緒に寝ない?」
後ろから抱きしめてくる流。
「ねえ流。
私。 また傷付かなきゃいけないの?
また、許さなくちゃいけないの?
・・・・どうして黙るの?」
もう止まらなくなってしまうのを分かっている。
やめておくべきなのだ。
流の手を解いて、リビングに戻る。ドアに立ち尽くす流をとても嫌いだとそう思う。
「加奈。」
「もう、いいわ。もう、寝て。」
「加奈。」
自分に近づくことを今、自分は受け入れられずにいる。
「お願いだから。寝て! 一人にしてほしいの。」
夢だったらいいのに。
思い切りドアを殴りつける流に戸惑う。
だってそれは、予想外だ。心臓が急に高鳴る。
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