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「どうして、流が切れるの?」
大股で歩み寄って、ソファーに座っている私に目線を合わせる。
「俺は、傷付いてないと思うのか?」
訳が分からなかった。
時計の針は静かに、正確に動き続ける。
「何が?」
流は怒っている。
はっきり言えば逆切れだと思うのに、流は今、あきらかに怒りを露にしている。
こんな流を見たのが初めてで、自分は戸惑ってしまっている。
「俺が。
何も気付かないと、そう思うの?」
自分の目線に流が居て、口に溜まった唾液をいつ飲み込めばいいのか冷静に迷ってしまう。
「何を言ってるの?」
「加奈。自分でわかってるだろ?俺にそういうことを言わせるの?」
「何を言いたいのか全然分からないわ。」
立ち上がり際、ソファーに手をかけていた流の腕を軽く蹴ってしまったが、そのままリビングから出た。
「逃げるの?加奈。」
「一体、何なの?あなたは言い訳もしないの?」
「また、、あなたかよ。 他人なのかよ?加奈、いつまであいつのこと想ってるんだよ!いい加減にしろよ!
俺は、何のために一緒に居るんだ?
どうしていつも一人になりたがるの?」
いつの間にか、後ろに立つ流に掴まれている腕を自分は、解けない。
振り払うことも出来ないのは、流が泣いているから。
流の手は熱いのに、乾ききっている。
「離して。空を起こさなきゃ。」
ゆっくり脱力していく流を見ることが出来ないまま、二階へ上がる。
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