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流は、大人だ。
あれから何も言わない。
自分の非を認め謝ってきた。外の女を聞かされても自分は何も言えなかった。
だって、何が言えるのだろう。
浩太に逢いたくて仕方ない今の私に。
寝室のクローゼットを意識する。一番奥に押し込めたダンボール。
TLCもLauryn Hillもbujuも。猫のワインも。
浩太の写真も息を潜めている。
開けなくてもわかる、浩太の目。
何も寄せつけない、拒絶の目。
それなのに、愛を溢れさせる浩太。
ひらがなの声。
浴室から呼び出し音が鳴り慌てて階下に降りる。
あの日から、流とはお風呂に入っていない。
自分は浩太を想うのに、流が他の人に触れた体を触れられずに、許せないでいるのは矛盾しているのだろうか。
自分のわがままが嫌になる。
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