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潮の香りの中で深く空気を吸い込む。
空と美海は、水遊びで体力を消耗しきって畳の上で昼寝をしている。お昼近くに、白いビキニを着た七海と七海の子供が現れた。私も押入れから黒いビキニを引っ張り出し、空と美海と五人で海に入ったのだ。ビキニのまま国道を歩いたのは、高校生のとき以来だったと思う。
昨日は、だらだらと過ごした。何することも無く空と美海とこうして畳の上で昼寝をして終わってしまった。
潮の香りに包まれたまま流と浩太の夢を見ていた。
とても寂しく孤独な夢。浩太の後ろ姿を流が見つめ、それを自分は更に後ろから見つめていた。
幸せだったのにとそう思う夢だった。
夜には、母親が買ってきたかつおの刺身におろしにんにくと生姜をつけて食べ、日本酒を飲んだ。孫たちを見てはニコニコし、少しの成長を見つけては大げさなほどに褒めていた。
・・・流は何をしているのだろう。女の子には、会っているのだろうか。
こっちへ来てからまだ一度も連絡をしていない。着信はあったけれど、特別話すことなどないような気がしてしまう。自分は、何をしたいのだろう、何かをしようとしている。オレンジ色に変わり始める部屋で軽く目を閉じる。
ふられたのは私だ。
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