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綺麗な左手で曲を変えながら。
真っ暗な立体駐車場をぐるぐるとゆっくり降りて行く車体。マフラーの低く唸るような音が鳴り渡っている。幾度も同じ角度でぐるぐると降りて行く、ぐるぐるぐるぐると。 ずっとこのまま回っていられたらいいのだ。終わりなく、ずっとひたすら。…閉じ込められたままゆっくりと。
永遠に二人で居られたらそれだけでいいのに。
国道に移り、速度を保ちながら浩太はCDを変える。選曲は、私を静かに責める。Lauryn Hillが脳に染み込んでくる。
いてくれる
いてくれる
私のために傍にいてくれるって言ったじゃない
確か、そんな歌詞だった。二人で聴いてきた音は。無言で体の中に染み込んで…記憶になったのに。私が泣いた日、浩太は[大丈夫]を聴かせてくれた。
君は大丈夫 たとえ何が… 俺らがここに立っている
たくさんの音を教えてくれた人。Hip HopもJapaneseレゲエも、浩太と聴いた全てが好きだった。セレクターの浩太…ガンジャとコロナとスタイルのいい女の子に囲まれている浩太。
本当に愛したのは私だった?
自信がないだけだ…私。ごめんね、浩太。
心を開けなかったのは 自分。
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