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結婚していても。
人は恋をするのだろうか。夫、以外の人に。
夢中になって。
本気で。。
青く澄んだ空もオレンジ色に染まる夕刻も。人混みも。音も。自分を取り巻く全てにその人が映る。その人の、色になる。その場所がどこであろうと…嫌いな雨の日でも。
浩太を探している。視線を動かさなくても浩太を意識していた。
会いたくて仕方なかった…どうしようもなく。
こんな不純な愛を誰が許す?許可証とかなんかそういうものがあったなら、欲しかった。例え、取得方法が困難だとしても。
浩太との永遠を手に入れる事を許す、許可証があったなら、私はなんでもする。そんなものは、この世の中にあるわけないけれど、きっとあれば、私達は、もう少し楽だったのかもしれない。
昨日蹴られた太ももには、青く痣ができている。背中も相当蹴っていたから、きっと痣になっている。痣には目を向けずにパンツに足を入れる。慣れてしまえば、もう。
「痛くないし。」
ただこの目の上だけは、いつもより多くファンデーションが必要になる。これだけは隠さなければ
仕事には行けないのだから。暗闇で手を伸ばしてくる夫が恐くなったのはいつからだろう。浩太に出逢ってから…?違う、一度SEXを拒否してから、それから「疲れている」事を理由にした。でもそれは嘘じゃなかった。でも、半分は嘘になっていった。一度拒否をしてから夫はむきになって力ずくで事を進めるようになった。それは、初めから肌を触れ合うこともしない動物の交尾のように。淡々と。拒否する口を塞ぎ、もう片方の手で探り当てる。殴りながら。髪を引っ張りながら。それで果てる夫が心底恐くなった。その暗闇に麻痺し始めていのかもしれない。だから…浩太に出逢って始めて、夫から逃げたいと思ったんだ。
別れることはできるのだろうか。
どうやって離婚できるのだろう。まだ私たちは21歳で結婚をして1年しか経っていない。20歳のどうしようもなく幼い結婚。その結果がこれなのだ。
多分私は、温かい家庭というものに憧れていただけだ。
父親に引きずり回され、殴られ、蹴られて。それに抵抗する母親、両親の間に入って行くことは許されず、私は隣の部屋でただ、じっと待っていた。高鳴る心臓を押さえ付けて、きつく目を閉じたまま。グラスが投げられる音も。窓ガラスが割れる音も母親が頭を打つ音も。目を閉じても
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