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それから数回集まったので、次第にそのメンバーでの呑み方は定着しつつあった。
彼女はその中でも紅一点だったので、毎回彼女の参加が一番の焦点だ。彼女の都合が付かないと会は何とはなく盛り上がらない。そして彼女はどれだけ呑もうとも決して変わることがなかった。
(女なのに、あれだけ呑んでほんと酔わないよな。)なかなか会話するチャンスが巡ってこないのでぼーっと彼女を観察してしまう。派手さはなく、かといって地味ではなく、品のいい服を着ていた。少しふっくらとした女性らしい彼女の身体のラインを生かす服が多かった。
実際に付き合えば、嫌なところなどが目に付くのかもしれないが、彼女はいつのまにか僕にとっての憧れの人になっていた。
彼女に出会ってからはや二年。数人のグループでの呑み友達というスタンスは相変わらずで互いの関係も変わらずだった。このまま時間が過ぎていくだけかと思い始めたそんなとき、彼女からいつもの飲み会を知らせるメールが来た。いつものように遅れて僕は、その呑み会の会場となっていたレストランに足を踏み入れた。
誰もいなかった。彼女一人を除いては。
『あれ?』
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