Ⅰ日本酒専門店

2/3

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
僕があの人と会ったのは、もう10年ぐらい前のことだった。最初僕は気が付いていなかったが、あの人は僕のことを見ていたと言った。それは、その後そうなるとは、まるでお互いに思っても見なかったのに。 たまに行く飲み屋でその店のおばちゃんと気があって、いろいろ話したりするようになっていた。ショートカクテルを2時間で10杯飲んじゃうほどアルコールにはめちゃ強い僕だったけれど、それまで甘ったるい日本酒しか知らなくて、興味はなかった。が、その店でおいしい日本酒が存在することを知って、覚えたての日本酒に興味津々だった。 その店は、日本酒にこだわった店だった。仕事帰りの土曜日に夕方寄ると、おばちゃんが一人で店にいる。そこで、つまみと、日本酒を3杯飲んで帰るのが毎週の日課となりつつあった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加