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彼女を抱き上げてベッドにそっと横たえた。僕も彼女の横に横たわる。彼女の頭をそっとやさしく、僕の胸に引き寄せた。『夢みたいだ。あなたが僕の腕の中にいるなんて。』
まだ少ししゃくりあげている彼女の長い髪をやさしくかきあげる。
『気分はどう?』
彼女が店を出るとき気分が悪いと言っていたのを思い出した。
『少しむかむかするの。けど大丈夫。』
『そう。吐きたくなったらいつでも僕を起こして。そばにいるから。』
『…ありがとう。』
僕らは服を着たまま抱き合って一夜を過ごした。正直な気持ちを言えば彼女を抱きたかったが、彼女がかなり酔っていたので、酔っ払った上での過ちにはしたくなかったのだ。興奮のあまり一睡もできないかもしれないと思ったが、多少酔っていたことも手伝って、いつのまにか眠っていた。
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