ⅩⅠ彼女の母親

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翌日会社に出社した僕はすぐに直属の上司から、支店長に会って来いと言われた。 『えっ。』と怪訝な顔をすると、すばやく耳打ちされた。 『おまえの付き合っている彼女は、まだ離婚していないのだろう?』 そのことか…と納得して、重い気持ちで支店長の部屋を訪ねた。すぐに支店長室に通された。 『早速だが、君の付き合っている恋人は、まだ離婚が成立していないね。』 嘘をつくわけにはいかない。 『…はい。』 『君の恋人の母親が、娘を誑かされ監禁されていると訴えてきた。』 『しかし、それは…。』 『事実がどうかは会社に関係ない。しかし、社会的道徳的に離婚の成立していない女性と付き合うのは、顧客のいるようなうちの仕事の場合、問題にもなりかねない。分かるね。』 『…はい。』 『君が何とかしないと、君を解雇せざるを得ない。』 『…はい。』 『以上だ。』
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