ⅩⅢ 転勤

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『転勤?』 彼女の顔が曇る。 『私とのことが原因なんでしょう。』 『でも、これはかなり暖かい配慮をしてもらっているんだ。』 隣県で車で通えない距離ではないこと、本来なら不祥事として解雇もありえたのだが、一時凌ぎにせよ、時間が稼げること。 『ただ、今までのように毎日一緒にはいられない。平日は隣県の寮で生活をして週末だけここに帰ってこようと思っているんだけど、どうかな。』『ん。そうね。』 不安な目の色が見て取れる。が僕は絶対に別れたくなかった。 『大丈夫だよ。今は色々あるかもしれないが、二人で幸せになろう。』 意を決した様子で彼女が僕を見つめる。 『どうしたの?』 『私も報告することがあるの。』 どきっとした。なんだろう? 『…赤ちゃんができたの。』
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