ⅩⅢ 転勤

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一瞬なんと返答してよいかわからなかった。彼女は子供ができないことで悩んでいたのではないか?けれど避妊をしていなかった僕との間にできたということは、不妊は彼女の問題ではなく、夫の方に問題があったというわけか。 『もしかして子供好きじゃなかったの?今まで一度も子供が欲しいとか言わなかったのは…。』 いきなりそう言われて別のことを考えていた僕は慌てて彼女に説明した。子供は好きだが、一番大事なのは彼女だと。だから夫との間で不妊に悩んでいる彼女の前で子供のことを話題にすれば余計なプレッシャーをかけると思い避けていたこと。彼女との間に子供ができて素直にすごく嬉しいと。 『あなたによく似た女の子がいいな。でも男の子もかわいいかもな。』 『ほんとにそう思ってくれていたの!?よかった!』泣きながら抱きついてくる彼女がすごくいとおしい。 『あなたも、あなたのお腹のなかにいる子供も僕が守るよ。身籠ってくれてありがとう。』
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