Ⅱ 日本酒の会

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『来週暇だったら、日本酒の会に来ないかい?』 『日本酒の会?』思わずおばちゃんにオオム返しに聞き返す。 『いい日本酒が手に入ったんでね。いつもこうやって、いい日本酒が手に入ったらみんなで飲むんだよ。』 一人でカウンターで飲むよりも、日本酒好きな人と飲むほうが楽しいなと思い、二つ返事で了解した。会費は一万円と決して安くはない。けれど、仕事の絡まない付き合いの方が気が楽なのもあった。 いつもの如く、日本酒を3杯飲んで、僕はおばちゃんの店を後にした。 仕事をしている一週間は忙しいためか、時間が矢のように過ぎていく。仕事に明け暮れて家には寝に帰るだけのような日が続くと、さすがに疲労がたまってくるのが判る。幸い彼女もいないような今の状態では、仕事に没頭していても文句も言われず、気が楽ではあったが。さしたる趣味もなく、彼女もいないのを仕事のせいにしているようじゃ駄目だといってくれたのは誰だったろうか。
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