ⅩⅤ 悪阻

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その言葉に僕は身体の中から熱いものがこみあげてきて、不覚にも泣きそうだった。 『…ありがとう。』 彼女をしっかりと抱き締めた。 毎日は慌ただしく過ぎていった。引っ越しをして平日は別々の生活だったが、週末は病院へと通った。二週間もすると悪阻も治まり、めでたく退院が決まった。 『退院したら離婚調停の二回目に行かなきゃ。』 『二回目?一回目は終わったの?』 『なにも決まらずに終わったわ。向こうは絶対に離婚しないの一点張り。しかも夫の側の重大な過失もないから…。』 彼女と話をしながら、なにか急いでしなきゃいけないことがあるような気がして気になっていた。なんだろう?なにか大事なことを忘れているような…。
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