Ⅱ 日本酒の会

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ようやく、仕事が終わって、日本酒の会に駆けつけたときには、開始時間から一時間を過ぎていた。すでに盛り上がっているような雰囲気に少し気後れしながら店のドアを開けた。 『こんにちわ~。』 おばちゃんがやっと来たなと目で笑う。とりあえず日本酒を注いでもらい、周りの様子を見ながら飲みながらぼーっとしていた。ようやく仕事が終わったと言う安堵感も手伝ってか、積極的に会話して回る元気はなかった。 しかし、その参加者の中に、先日カウンター席で居合わせた女性がいるではないか。まずは遠目で観察していたが、割に気さくに話している様子。ストレートの長い髪、バランスの取れたプロポーション、美人と言うよりもかわいい感じの顔立ちと見事に好みのタイプだった。先日逢った時は、カウンター席で横に座っていたので、ほとんど顔を眺める余裕はなかったのだ。 これはぜひ一度話をしてみたいと、徐々にその女性の近くへと移動した。はやる気持ちを抑えつつ、少しずつ。
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