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“文学少女”と飢え渇く幽霊
彼女を殺そう。
嵐のような狂気に
身を震わせながら
彼は決意した。
そうだ殺せ、
殺すのだ。
巻き戻した時間を
元に戻さぬために。
彼女を永遠に、
彼の世界に
繋ぎ止めるために。
彼女の屍を抱き、
血をすすり、
肉を食らい、
骨を枕にし、
同じ棺で眠るのだ。
彼女の目も、鼻も、
唇も、皮膚も、肉も、
血も、骨も、すべてー
すべて彼のものだ。
雪のように白く
氷柱のように冷たい
彼女の首に、十本ね指を、
ぎりぎりと食い込ませながら、
彼は掠れた声で呟いた。
『さようなら、
裏切り者夏夜乃』
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