3人が本棚に入れています
本棚に追加
飯塚夫妻には満月より5歳も年上、15歳の息子さんがおりとても優しい家庭だった。
旦那さんの仕事の都合で満月を迎えいれすぐに北海道へ引っ越す事になってしまった。
別れの挨拶も出来ないまま引越しの当日になってしまった。
満月は移動する車の中でずっとムーン達の事を考えていた。
「満月、大丈夫?」
満月の兄になる辰巳(たつみ)は満月の顔を心配そうに除き込んだ。
「大丈夫ですよ(笑)辰巳さん」
「辰巳さんなんて水臭せ~!ここは是非ともお兄ちゃん!と呼んでくれ!!」
「お、お兄ちゃん……ですか?」
「そうだ!お兄ちゃんだ!あと敬語もなしな!」
辰巳は顔を近付け満月よりも一回り大きい手で満月の顔を挟んだ。
「は…うん!」
満月はムーン達と別れてから初めて心から笑った。
「それじゃあ、あたしはママ!って呼んでね?」
奥さんは助手席から顔を覗かせ年齢よりも幼い無邪気な笑顔を見せた。
「お袋さぁ~、もうママっつう歳じゃないだろ?」
「ひど~い!だってたっちゃんたら一度もママって呼んでくれないんだもん!」
「じゃあ俺はパパかな?(笑)」
最初のコメントを投稿しよう!