217人が本棚に入れています
本棚に追加
それはおれが中三のとき。
その人はみやびの従姉だと言った。
「はじめまして。明咲千里よ」
明るい笑顔に赤褐色の瞳。
本条の家系にはたくさんの外人の血が混じっている。
みやびの髪と瞳もそういったところからきている。
「君たちがみやびの友達?」
「神宮燎夜です」
「竜宮寺拓哉」
「椋木飛鳥だ」
「神楽…響鬼」
それからしばらく、千里さんとは会っていた。
初恋?
そういう言葉もある。
好きだったのかもしれないし、違うかもしれない。
「千里ねぇがケーキ焼いたんだ。すごくおいしいんだけど、食べる?」
「モンブランか…へぇよくできてるな」
千里さんはパティシェを目指していた。
いつだったか、千里さんは俺に夢を語ってくれたことがある。
最初のコメントを投稿しよう!