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「姉さん、早くパーティー会場に行かないと父さんに叱られますよ」
「飛鳥、これとこっちのとどっちが似合う?」
「どちらも姉さんに似合いますから。先に行っちゃいますよ」
そんな会話が近くの部屋から聞こえた。
「誰だ…?」
おそるおそる扉の隙間から中を覗いてみれば、鮮やかな桃色のドレスに身を包んだ女の子と、すらりとした体にスーツをまとった男の子がいた。
男の子の方はだいたい俺と同い年くらい。
女の子のほうは年上か?
「姉さん」
「わかったわよ。先に行っててもかまわないわ」
「ではお先に」
やばっ。
男の子がこちらに向かってくる!
俺はあわてた。
でも隠れる場所なんてどこにもない。
ガチャ
「誰だ?」
それが、俺に向けられた椋木飛鳥の第一声だった。
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