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俺の双子の姉亜梨栖はかなり手先が器用で『神の指先』を持つ少女と言われていた。
亜梨栖は、糸と針があれば、どんなに細かい模様でも布の上に描き出す。
「嬉しいです。椋木様が覚えてくれていることが」
「はじめ写真をみたときかわいらしいと思ったものですから。よろしければ、あちらでお話しませんか」
亜梨栖はすっかり飛鳥の虜になっていた。
無愛想だった飛鳥の面影はない。
亜梨栖が飛鳥の素顔を知らなきゃいいんだけど。
「あれ、拓哉だ」
後ろから飛びつかれ、俺は危うく体勢を崩しかけた。
「っの、みやび!」
「あははは、久しぶり」
神の座所第五座の本条家。
それがこいつ本条みやびの生まれた家だ。
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