幼き日の約束

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   子供ってのは、純粋だ。  純粋だから、タチが悪いんだとも言う。  嫌なものは嫌だとゴネるし、そのくせ敵わない相手には素直に従う。  そして自分とは違うものを認めない。排除しようとしたがる。 『お前ら、人間じゃないだろー!』 『あっち行け、はーふの子ー!』 『お前らの父ちゃんはまぞくなんだろー。まぞくはわるいやつだって、母ちゃんも父ちゃんも言ってたぞー!』  ハーフだから、何だって言うんだ。  確かに、オレとシューンはハーフだ。魔族と人間の子。親父が魔族で、お袋が人間。  人間界では忌み嫌われてたはずのお袋が人間の村でオレ達を産めたのも、暮らす事が出来たのも、親父の存在があったからこそだ。  別に親父が何か言ったわけではない。ただ、村のやつらが勝手に恐れて、「勝手に住め」と吐き捨てただけだと、親父からもお袋からもそう言われた。  村のやつらの事になると、昔から親父は「仕方がない」とよく言っていた。そんな親父の口癖は「昔から分かっていた事だ」だった。  
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